集客の方法はひとつじゃない

インターネットがない時代、宣伝の方法といえば、TVや新聞などでの広告、街の看板、チラシ、フリーペーパー広告などでした。

2000年からヨガを指導し始めたのですが、同時期、パートナーだった夫が、整体院を独立開業するにあたり、有名なフリーペーパーに広告を出したいというのです。

3cm四方くらいの広告スペースに、30万円….
開業資金を貯めることもなく、今でこそメジャーになった「サブスク」での定期的な通院の顧客獲得の目標を達成したわけでもなく、フライングで会社を辞めてしまった夫から受けたその提案を、私は、一旦、保留にするよう提案しました。

 

「広告に使ったと思って、その30万円を私に託して欲しい」

そう言って、私は、当時住んでいたお台場の近所のオープンカフェを貸切にして、ヨガイベントを企画しました。

 

参加費3,000円で、ビールやオーガニックワイン、フリードリンク飲み放題、フィンガーフードもあり、ヨガも受けられて、ディジュリドゥーや現代音楽のライブもある。

そしてワンコインで、タイマッサージや整体(もちろん開業予定の夫の)などの施術が受けられるブースもつくりました。

そのイベントに200人集客するという目標でした。

 

貸切にするには、30万円の内金を入れる必要があり、人気店だったそのお店で飲み放題とフィンガーフードを参加予定人数分用意するには、最低2,500円必要で、アーティストのギャラや、フライヤー代、お知らせをする郵送費など、諸々考えると、30万円の赤字が出るという試算(最初から赤字になってもいいという判断)で企画しました。

結果、どうなったと思いますか?

 

新規顧客開拓よりも、通い続けてくれるお客様を

予定をはるかに超える300人が参加してくれて、メディアの方なども多数参加。

近所では話題になり、友達がその友達をイベントに誘ってくれたりして、イベントは好評で、みんなが喜んでくれました。

そうすると、そのイベントに来てくれた人が、彼のお店にも足を運んでくれるようになったのです。

そこから、彼のお店は、毎月100万円を超える売り上げがたち、経営も安定していきました。固定客や、人の紹介で予約枠は埋まり、広告を出す必要もなくなりました。

 

広告を有効に活用する…ということも大切ですが、集客において一番重要なことは、1人づつでもお客さんを「増やしていく」ということです。

また、新規顧客開拓よりも、リピーターを増やすことに注力することが大切です。

お金を出して、PRすることのできる「広告」よりも、信頼する人からの「紹介」の方がはるかに、契約に結びつきやすく、効果的なのです。

 

ひとつのサービスで満足すると、その次もまた満足する

先ほどの例は、広告をしたい主体サービスとは少し角度の違う機会の提供をして「周知」を広めたという例ですが、それでも、私たちが提供したサービスに満足したり、そこで素敵な出会いや体験があった人は、また足を運んでくれる確率が上がります。

 

「はい」と答える質問を重ねれば重ねるほど、また次も「はい」と言ってしまうように、満足したと感じた経験は、また次も満足する可能性が上がります。

お客様は、いちばん最初のコンタクトが、一番厳しい基準で判断することが多く、通い続ければ続けるほど、許容範囲が大きくなるものです。

なので、最初の3回、大満足!と感じたら、最初は通い続ける気持ちではなかったとしても、信頼関係もできていくため、通い続けることを選択してくれるものです。

 

集客に悩んだ結果、集客の方法を学ぼうとしてしまう落とし穴

SNSが普及して、今はまたさらに「広告」や「広報」の手段が変わりました。

インターネット広告は、その分野に興味のある人にのみ絞って広告を打つ、検索履歴などから最適化され、より購買の可能性が高い見込み客にお知らせをする「ターゲット広告」「リスティング広告」などが生まれました。

また、Instagramなどで、著名人にその商品やサービスを広報してもらう…などの手段も広がってきています。

以前と変わらず、それらは、お金を出せば、広告代理店が効果的な策を考えてくれるかもしれません。

…でも、それが本当に良いのでしょうか?

 

一方で、広告にはお金をかけられないと思っている人を対象に、

『SNSで集客の自動化ができる』とか

『マーケティングを学び、売り上げが倍増する方法』
みたいなセミナーや、サービスが増えてきています。

一度学んでしまえば、その後はお金がかからないという触れ込みで、結局、話を聞くと、そのセミナーに参加するために50万円近く支払う…ということになることも。

なぜ、そうなるのでしょうか?

人が何かを欲しい!と思うとき、それは、「課題を解決するため」自分に欠けた何かを埋めるため、困りごとや辛さを解消したい、または「喜びを増やす」ため、楽になる、気持ちよくなる、美味しい、幸せ…などのいずれか二つです。

 

そして、そのうち最も強い動機となりうるのが、
「悩み」を解決するということ。

 

だから、集客に悩んだ結果、集客のセミナーに参加しようと思うわけです。

でも、それは本末転倒なのではないでしょうか?

集客の方法=テクニックを磨こうとするよりも、本業のスキルを高め、サービスのクオリティを上げるか、もっと多くの人に、自分のサービスを知ってもらう努力をする方が賢明です。

 

むしろ、なぜ、買うつもりでもなかったサービスを買いたいと思ったのか、
その仕組みに、目を向けてみてください。

これは、昔からある最もメジャーな広告手法のひとつです。

「セールスファネル」という言葉はご存知でしょうか?

 

自社のビジネスに初めて触れる人が、製品・サービスを認知し、購入・契約を経て、継続的な顧客となるまでのプロセスを段階分けしたものを指します。 潜在顧客から優良顧客になる過程で人数が絞り込まれていく様子を漏斗(じょうご、ろうと=funnel:ファネル)に例え、セールスファネルと呼びます。

漏斗のように、最初の接点は、大きく開いていて入りやすく、徐々に絞り込まれてより深く関わりを持っていくような仕組みのことです。

セールスファネルは、一般的に、

・無料オファー

・ファーストエンド

・バックエンド(さらに1〜3くらいのレベルに分かれる)

のようにサービスの内容を何層かに分かれていて、段階がすすむごとに料金も上がっていきます。

企業が一番売りたいのは、バックエンド商品で、そこに魅力を感じてもらうには、その企業やサービスを認知し、他と比較検討し、その上でより魅力を感じ、信頼し、ファンになり、継続的な顧客となっていくというプロセスを経るという考え方です。

そして企業の収益のほとんどが、バックエンドのサービスによりもたらされる利益により支えられています。

 

例えば、先に例にあげた集客セミナーなども、まさにこの手法を使って展開しています。最初は無料セミナーがあり、その次に手頃で参加しやすい講座があり、最終的には大きな金額を必要とするサービスを契約させられるという構図。

エステサロンや、脱毛サロンなどの継続利用を勧めるサービスなども、皆、同じように、初回体験などは、びっくりするくらいの安価で提供し、その後、成約に繋げるという仕組みをつくるようにできています。

世の中のビジネスというのは、このように、有効なマーケティング手法が活用され、展開されていることが多いのです。

ということは、あなたも、有効な方法を活用すれば、それだけでビジネスがうまくいくのでしょうか?

私はそうは思いません。

 

はじめに、私の過去の経験をシェアしたように、ビジネスは、本来、人と人とのリアルなつながりや信頼を育んでこそ、豊かに成長することができるのです。

 

ヨガのクラスであれば、今、参加し続けてくれる生徒さんが、今後も通い続けたい、今よりもっと多く通いたい、とても良かったからお友達にも勧めたい、家族にも通わせたい…そう思ってもらえることが、一番大切なのです。

 

目の前にいる一人の顧客が満足することなしに、次の顧客があなたの元に訪れることはないでしょう。

ひとりひとりを大切にするコミュニケーションができているか、サービスの提供ができているかを振り返ってみましょう。

あなたの顧客に、顧客の期待値以上の価値を提供できているでしょうか?

 

そこを、もう一度見直してみてください。

 

 

「お客様を大切にする」
「顧客に期待値以上の価値を提供する」ために

私が実践してきた方法を、最終日に、動画でご紹介しますね。

それでは、また明日!

 


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著者:高橋由紀 Yuki Takahashi

株式会社ベビーヨガアソシエイトCEO・一般社団法人ボディセンス・インスティテュート代表理事。
1995年、自身の体質改善のためヨガを始め、病を克服。ヨガ指導歴20年以上。3児の母。日本におけるベビーヨガの第一人者として活躍。

現在は、Baby Yoga®、骨盤調整ヨガ®、RODY YOGA®などを始めとする赤ちゃんからシニアまでの各種ヨガプログラムの指導者育成を行う。2008年より現在までに、海外を含む日本全国に1,000人以上のヨガ指導者を育成。大学や研究機関との研究活動のほか、全国での講演活動、書籍やDVDの出版、メディア出演など多数。