やさしいヨガ哲学:利他の精神について

利他の精神とは

利他の精神とは、自分以外の相手、他人の利益や便益を重んじ、自己をささげる心構えのこと。
利他(他者のために)を行動原則とする心のあり方です。
私たちの心には「自分だけがよければいい」と考える利己の心と、「自分を犠牲にしても他の人を助けよう」とする利他の心があります。

ヨガにおいては、利他の精神は、相手を幸せにする(相手を満たすことが目的ではないけれど)だけでなく、自身の心すらも浄化してくれると説かれています。
一方で、利己とは我欲(エゴ)・煩悩(欲)であり、利己で生きることは、自分のことしか考えていないので、誰の協力も得られません。自分中心で視野も狭くなり、間違った判断をしてしまいます。
ヨガとは、自己を観察し、利己的な考えに気づき、排除し、利他に変えていくことを目指すものです。

利他の心で判断すると「人によかれ」という心で行動をしますので、周囲の協力を得られたり、視野も広くなるため、他者も自らもみんなを幸せにすることができます。

 

忘己利他(もうこりた)という教え

仏教哲学においては、忘己利他といい「自分のことは忘れ、他の人々のために尽くしなさい」という教えです。ブッダの教えの中には、空腹で苦しむブッタ(修行僧たち)のために、ウサギが自ら火の中に飛び込み、助けようとしたことや、虎の母親が飢えて死にそうになった時に、ブッダ自ら崖に登り、そこから飛び降り、自分を殺してまで虎を救おうとした話などが残されています。
極端な例かもしれませんが、人間だけではなく、すべての生きものの中に、神が宿っていると説かれた教えの中には、「神」と称されるものたちが利他の精神によって、他者のために尽くし、生きる姿が記されています。

利他が自らの本当の喜びとなる生き方を

利他、利己と対義的な表現をしていると、それらは対立的な心のあり方であるように感じますが、私たちが本当に目指すべき道は、「他者のために」と思う行動や判断が「自分のため」と思える生き方なのです。
それぞれが分断されたものではなく、他者の喜びや幸せこそが、自らの喜びであり幸せであるという心の境地です。
エネルギー的な話をすると、
利他の精神は、愛を生み出します。
利己の精神は、分断や孤立を生み出します。

ワンネスー愛のエネルギーで生きること

生きている間、私たちが寝ている間も絶えず続けている呼吸、常に体に取り入れている空気のように、呼吸をするたび、今ここに存在するだけでも、絶えず、体内にはエネルギーを取り入れたり、排出したりしています。
目には見えない「エネルギー」ですが、朝の新鮮な空気を吸うだけで、体や心が澄んでいくような感覚があるのは、呼吸により、私たちが取り入れているのは、空気だけではなく、エネルギーそのものだからです。
同じ環境にいる人がイライラしたり、焦ったりしていると、こちらまで気忙しなくなったり、いつもニコニコとして朗らかな人のそばにいると、こちらまで楽しくなったりすることも、同じく、良くも悪くも、場(環境)を共有している人のエネルギーの影響を受けてしまうということをあらわしています。

戦争が続いたり、悲しい事件が後を絶たない世の中においては、人間の残酷さや無慈悲、恐ろしさが伝播して行きますが、本来、宇宙も命も、愛のエネルギーから生まれています。
自分も他者も、地球も自然もすべ手が繋がっていて、一体であり、そのエネルギーは、喜びや愛に満たされているのだと覚知することこそが、悟りの境地なのです。

 


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著者:高橋由紀 Yuki Takahashi

株式会社ベビーヨガアソシエイトCEO・一般社団法人ボディセンス・インスティテュート代表理事。
1995年、自身の体質改善のためヨガを始め、病を克服。ヨガ指導歴20年以上。3児の母。日本におけるベビーヨガの第一人者として活躍。

現在は、Baby Yoga®、骨盤調整ヨガ®、RODY YOGA®などを始めとする赤ちゃんからシニアまでの各種ヨガプログラムの指導者育成を行う。2008年より現在までに、海外を含む日本全国に1,000人以上のヨガ指導者を育成。大学や研究機関との研究活動のほか、全国での講演活動、書籍やDVDの出版、メディア出演など多数。

 

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